影・HLは、アニメ原画のように影トレス線を1枚別レイヤーに描いておき、同じようにsvgに変換して、インポートしてオブジェクトを分割して塗り分ける
(次項)か、Photoshopのように上層に隠れる部分を大まかに、見える部分を細密にパスで作成し、影・下地2つのオブジェクト選択
→ Clip
→ Set(共通範囲クリッピング)で影部分オブジェクトが作成(デフォルトの設定では、このとき色が下層オブジェクトの色になる)出来ますが、クリッピングは他のアプリケーションとの連携がまだ不完全な様で、例えばpdfで書き出した場合、Adobe Readerで表示させるとクリップしたオブジェクトは塗り分けが正常に表示されません。
また、Inkscapeで作成したSVGをGimpで開くと通常のパスはインポートできますが、クリップしたパスは位置関係が激しくずれてしまう様です(画像そのものは正常に表示できる)。
これらの問題は、クリッピングを使わずにパスメニューの切り出しを使うと回避できます。
ここでは前者の方法で肌の影をつけます。
下記の手順は、既に肌の下地色彩色部分を「hada_Base」レイヤーにマージしているものとします。肌以外の部分も同様にマージしてから操作を繰り返します。
単に"コピー"と書いてあるものは、"コピー and 同じ場所にペースト"する事を示し、例によってレイヤー名やファイル名は半角英数文字であればどんな名前でも良いです。
影トレス線を使って下地色部分から影部分を切り出す
1.hada_Baseレイヤーの前面に新規hada_Shadowレイヤー作成
2.hada_Baseレイヤーのオブジェクト(パス統合済)を(1)にコピー
3.インポートした影トレス線(次項参照 パスは統合する)を(1)にコピー
影トレス線は他の部分でも使い回しするので、コピーを取ってから使います
4.hada_Shadowレイヤー全選択、パス差分
[Ctrl+Num-]
影トレス線が消えてしまいますが後で切り出します
5.そのまま続けてパス分割
[Shift+Ctrl+K]
ばらばらになっている影部分オブジェクトは次の工程でパス統合したいので、hada_Shadowレイヤー上の影以外の部分(ここでは肌下地色と重複する部分)は削除します。
(このときFill色を影色にしてから削除していくとイメージがつかみ易い)。
hada_Shadowが影のみの状態になったら、一旦線画を表示させて隙間がないかチェック。
2000%くらいズームすると隙間が出来ている事があるので、全選択してストローク色を同色に、ストロークの線幅を0.1ptくらいに設定。線画の不透明度を下げておくと確認しやすい。
6.hada_Shadowレイヤーのパス統合
[Ctrl+Num+] 7.hada_Shadowレイヤーの前面に新規hada_ShadowLineレイヤー作成
8.hada_Baseレイヤーのオブジェクト(パス統合済)を(7)にコピー
9.影トレス線(パス統合済)を(7)にコピー
10.hada_ShadowLine全選択、パス切り出し
[Ctrl+Num*]
11.hada_ShadowLine全選択、hada_Shadowレイヤーにコピーして統合
(影と影線を同色にする場合のみ)
ShadowLineを影と同色にする場合、hada_ShadowLineレイヤーはもはや不要なので削除します。
ShadowLineの色を別の色にする場合でも、一旦hada_Shadowと結合した上でShadowLineレイヤーの側を色換えしないと隙間ができてしまう事があります。
隙間が出来た2つのオブジェクトを結合すれば隙間は消えます。
ちなみに2番目の工程で、差分ではなく分離を使えば同時に影トレス線の切り出しが行えるので6〜10番目の過程が不要になるのですが、1枚のレイヤーに影と影トレス線オブジェクトが両方ある状態ではどちらかの選択が困難なので、やや遠回りな感じですが差分を取ってから切り出した影トレス線を統合するようにしています。
現時点のバージョン(Inkscape 0.43+0.44pre2, built Jun 2 2006)では、pdfやpsで保存して他のアプリケーションに渡すと、レイヤーの不透明度やFill/Stroke色の半透明色が反映されません(SVGで保存すれば問題なくブラウザでも反映されます)。
半透明色部分を、背面レイヤー(または背面オブジェクト。いずれも無い場合は白い矩形を背面に置く)を表示した状態でカラーコードをコピー(スポイトor[F7][Ctrl+C]) → Fill/Stroke色(不透明度、透過性ともに)とレイヤーの不透明度を100%に戻す → Fill/Strokeダイアログにカラーコードをペーストすることで回避できます。
スポイトツールは、レイヤーの不透明度やオブジェクトの選択色に関係なく"今見えている色"をコピーします。スポイト使用中に[Ctrl+C]キーを押すと、マウスポインタ直下のカラーコードがクリップボードへコピーされます。
スキャナ取り込みの線画では無理ですが、線画をタブレットで描く場合は線が交差する部分(髪と眉など)を別レイヤーに描いて、それらを別SVGで書き出してからインポート→パス統合すると、線画の交点がコーナーポイントにならずに丸まってしまうのを回避できます。
線画全体をSVG、部分ごとにSVG+統合いずれのでも、ノード数はあまり変化しません。