ところで、A4タブレットとPTZ-631Wの操作面幅の差は、カタログ値で引き算すれば幅33.8 mmの差となりますが(304.8-271 = 33.8 mm)、ちょっとここに落とし穴があります。
PTZ-631Wの操作面(271.0*158.8 mm)の縦横比は約10:17で、用紙の縦横比としてはUS Legal(8.5*14 inch)に近い比率(実寸サイズでない)になっています。
これに対してワイドモニタの縦:横はたいてい10:16なので、縦横比を保持して使うと操作面(幅)に約17 mmの無駄が出てしまいます。
PTZ-631W 初期状態(操作面全体のカウント値)↓
縦横比を保持↓
カウント値とは座標分解能力を持つセンサーの線数で、古いモデルのマニュアルには「100 lpmm」と記載されていました(現在の表記は「読取分解能 0.005 mm」)。
lpmmは(line par mm)つまり1ミリあたりの線数(= カウント値)なので、このダイアログの場合271 mmの中に54203線ある、つまり
54203/271 = 200.011 line/mm (= 座標読取分解能 271/54203 = 0.005 mm/line)
ということです。このことから、カウント値を54203→50800に減らすと
使用されない幅(操作面上のサイズ) = (54203-50800)*0.005 = 17.015 mm
A4 Tablet(PTZ-930)との有効差(幅) = 304.8 -(271-17.015) = 50.815 mm
つまりPTZ-631Wをワイドモニタ(16:10)環境+縦横比保持設定で使うと、操作面の実質的な有効幅は約254 mmになり、A4タブレットとの差は約50.8 mmになってしまうのです。ちなみに50.8 mmとは官製はがきの短辺を2つ折りにした位の長さになります。
※ペンの移動量に対するポインタ移動量は、A4タブレットより約2割増程度です。
100*(1/253.985)*(1/304.8)r = 120.007 % (同一のモニタで同一のマッピングを行った場合)
(*(n)rは*1/nの意。電卓に貼り付けるとき楽)
□
PTZ-631Wは、よくA5(148*210 mm)ワイドと言われている通り、操作面に収まる大きさの用紙はA5(148*210 mm)で、その場合横方向に6 cm以上余り、B5(JIS 182*257mm)だと縦方向が約23 mm(B5 USは約17 mm)足りません。
縦横比が最も近いUS Legalでは横方向が8 cm以上足りず、US Executive(7.3*10.5 inch)でも縦方向が約25 mm足りず、いったいWacomは何を基準にしてPTZ-631Wのサイズを決めたのだろう?謎。
ちなみに他の機種は、用紙サイズ+1〜2cm弱の余白がある操作面サイズになっています。
モニタの縦横比としては1280*768 dot = 5:3のモニタに最も近くて、これはUS Legalよりも近い比率ですが、5:3の比で631Wの操作エリアに収まる最大整数比は50200:30120ですから、今度は縦横ともに僅かですが無駄が生じます。
(50204-50200)*0.005 = 0.02 mm (横の余り)
(31750-30120)*0.005 = 8.15 mm (縦の余り)
そもそも1280*768 dotのモニタ(パネル)というのはおそらくノートPCくらいにしか使われておらず、それに合わせて作られたとはちょっと考えにくい気がします。
□
ここまでワイドモニタを前提にしてきましたが、PTZ-631WはPTZ-630よりほんの少しだけ広く使えるので、もしかしたら4:3のモニタで使っている方もいるかもしれません。
PTZ-630 4:3 = 40640:30480 count (203.2*152.4 mm)
PTZ-631W 4:3 = 42332:31749 count (211.66*158.745 mm)
PTZ-631Wを4:3のモニタで使う場合、縦横比保持で操作エリアを「最大」にすると同じくマッピングが左寄せになるので、これを右寄せにしたいときには「一部領域」でカウント値を(11871,0) - (54203,31749)にすればokです。
上図のように縦方向のカウント値は最大31750まで広げることができますが、31750という数で4:3の整数比を作ることはできないので、原点x,yが0のときは(0,0) - (42332,31749)になります。
1カウント使えないと言っても、Intuos3の1カウントは0.005 mmなので気にならない、してはいけない数だと思います。
ただし横方向で無駄になる領域は16:10のモニタより当然多く、操作面幅59.36 mmに達します。これはPTZ-631Wの操作面幅にして22%、高さの1/3以上の長さにあたります。
□
Intuos3シリーズといえば、あの表面のアクリルが美しいのですが、あれは裏地と全面接着はされていないみたいで、買ったその日にうっかりコーヒーの雫が(よりにもよってアクリルと裏地の継ぎ目に)はねて、その雫がアクリルの裏側に毛細管現象で入り込み(ガラスを2枚くっつけて水に入れると水が吸い上がるアレ)、枕を濡らしたバカがここにいるので、ここを見ている皆さんは気をつけましょうね...orz
水拭きするときなどに、ウエスを固く絞ってないと同様の事態を招くことになると思います。
それと、ファンクションボタンの隙間に入ってしまった埃を市販のエアスプレー(エアダスター)で吹き飛ばそうと思ったとき、タブレットの構造上、ついスプレー缶を傾けて使いたくなりますが、スプレー缶を傾けてガスを噴射すると生ガス(液化ガス)が気化せずに液体のまま吹き出て、その気化熱により対象物が急激な温度変化に耐え切れず、ひび割れてしまいます。これはタブレットに限った事ではありません(要らなくなったCDのケースに、わざと生ガスを噴射してみると良く分かります。透明な氷をお湯に入れたときのように無数の細かいひびが入ります)。
僕はこれでファンクションボタン周囲を蜘蛛の巣が貼り付いた様にひびだらけにしてしまいまいました(TT。手放した最大の理由)。
教訓。エアスプレーは対象物を立てて使おう・・・。