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J 解像度のお話

■ 解像度のいろいろ

いきなりですが、「解像度」と言う用語を、それ単体で使うのやめましょうよ(とくにマスコミの方とメーカー広報の方)。

「総数」と「1当たり量」を、全部「解像度」で括っちゃったら、ぶちっちゃけ混乱するっしょ。
ていうか、画面解像“度”なのに掛算で表されるって、どうなのよ?
「Windowsの解像度は約96dpi」、って、「約」ってどういうこと!?
そもそもdpiの「インチ」って画面上の1インチなの?印刷した紙の上での1インチなの?
―と思ったのは僕だけじゃない・・・はず。

という事で、ひと口に解像度と言っても色々あるわけです。ググれば先人の方々が詳しい解説をたくさん書いて下さってますが、今一度ここで理解を深めたいと思います。
このページでは以下、あえて解像度という呼び方をやめて、画像表示に関する用語を次のように表記することにします。
  • 画像ピクセル数(X*Y pixels)
  • 画像解像度という表記が一般的。ラスター画像を構成するピクセル(1*1 pixelの面 = ビットマップピクセル)の総数を、横縦1辺当たりのピクセル数の乗算式で表す数。
    ただし「画像解像度を2倍にする」のように使われる場合は、総数の2倍でなく1辺当たりのピクセル数を2倍にすることを指す。

    1ピクセル角の面が拡大されて4ピクセル角になっても、元のピクセルは1色しか情報を持っていないため色数は変化せず(何も画質補完が行われない場合)画像は荒くなる。
    整数倍の拡大にならないケースや縮小では、同じくピクセルは1色しか情報を持つことができないため、周囲のピクセルの色情報を元に中間色で補完される。これがアンチエイリアスの基本。

  • モニタ画素数(X*Y dot)
  • 画面の解像度(画面のプロパティ→「設定」参照)。ディスプレイ解像度という表記が一般的で、モニタ本体の画素の総数を、横縦1辺当たりの画素数の乗算式で表す。
    モニタ画素の総数が同じでも、ドットピッチが異なれば表示される画像の見かけのサイズは変わる。

    ドットピッチ = モニタ上の1画素の中心から隣の画素の中心までの長さ

    下の表は現在CG用途で一般的なモニタ画素数とその規格名(本来はモニタ画素数のみを示す規格名称ではなく、規格化されていない物も含むので俗称と言う方が正しいかもしれない)

    ※SVGA以下のサイズは既に一般的でないと思われるので省略する
    規格 モニタ画素数
    (X*Y dot)
    X:Y比 対角インチ別にみる
    スクリーンdpi
    XGA 1024*768 4:3 15in = 85.333dpi
    17in = 75.294dpi
    SXGA 1280*1024 5:4 17in = 96.424dpi
    19in = 86.274dpi
    SXGA+ 1400*1050 4:3 _
    UXGA 1600*1200 4:3 20.1in = 99.502dpi
    21.3in = 93.897dpi
    ワイド液晶
    _ 1280*768 5:3 15.4in = 96.930dpi
    17.0in = 87.807dpi
    WXGA 1280*800 16:10 15.4in = 98.015dpi
    19.0in = 79.444dpi
    WXGA+ 1440*900 16:10 19.0in = 89.375dpi
    WSXGA+ 1680*1050 16:10 20.1in = 98.564dpi
    22.0in = 90.052dpi
    WUXGA 1920*1200 16:10 15.4in = 147.023dpi
    17.1in = 132.407dpi
    24.1in = 93.948dpi
    WQXGA 2560*1600 16:10 29.8in = 101.304dpi
    30.0in = 100.629dpi
    対角インチ数に対するスクリーンdpi(表示解像度)はカタログ上のインチ数で計算。カタログでは1/100inch以下の端数は四捨五入されて表記されるため、実際のdpi数とは異なる。


  • スクリーンdpi
  • モニタ表示解像度という表記が一般的。モニタ画素数が総数であるのに対し、スクリーンdpiは画面上の実寸値で1インチ当たりのモニタ画素数を表す。液晶モニタでは、ドットピッチに依存する固定値となる。

    モニタ上の1画素の大きさは物理的に変更することが出来ない(CRTを除く)ため、プリントサイズで表示する機能を持つアプリケーションでは、アプリケーション側の設定でスクリーンdpiを正しく設定すると、印刷解像度の設定値に関わらず、用紙設定のサイズを原寸大で表示することが出来る。

    「画面のプロパティ」→「設定」→「詳細設定」→「全般」タブの「画面のDPI設定」(通常の大きさ96dpi)と非常に紛らわしいが、前者はグラフィックスエディタ上で用紙を原寸表示するための設定値で、後者はWindowsのGUIやポイント数指定のフォントサイズを変更するための設定値。
    Windowsは96dpi、Macは72dpiと言われているOS依存の解像度とは後者を指す。

  • スクリーンピクセル
  • 主にベクターグラフィックスエディタのZoom時の操作において、ビットマップとしての1ピクセルでなく見かけ上の1ピクセル(= モニタ上の 1 dot)を 1としたときのデータ上の大きさ。Zoom率によって1スクリーンピクセルの大きさ(量)は変化する。

    1スクリーンピクセル = 100*(1/zoom率) pixel

  • 印刷解像度(dpi)
  • 画像データの印刷解像度として用いられる場合は、印刷結果の紙上の実寸値で1インチ当たりに割り当てられる画像ピクセルの個数。
    多くのグラフィックスエディタは、印刷解像度を変更すると画像ピクセル数もそれに応じて自動的に変化する(変更前と印刷結果のサイズを等しくするため)。
    そうした意味で「画像ピクセル数を200%(ピクセルの総数は400%)に拡大」する事を「150dpi→300dpi」のように書く場合があるが、本来なら印刷解像度を変えても画像ピクセル数は変化しない(印刷結果は当然小さく = 高密度になる)。

    また非圧縮・可逆圧縮の画像の印刷解像度だけを変更した場合、ディスク上のサイズ(バイト数)も変化しない。ただしヘッダの情報が異なるためデータハッシュは一致しない。

    印刷機の性能として印刷解像度と表記される場合は、用紙1インチ当たりの主走査線数*副走査線数という意味で1200dpi*600dpiなどのように使われる。

  • 原寸表示
  • 印刷結果をモニタ上で原寸大表示する(プリントプレビュ)。
    スクリーンdpiを正しく設定した上で、Gimpでは「点に点を対応させる」をoffにしてZoom率を100%にする。
    Photoshopでは同じくスクリーンdpiを設定した上で「プリントサイズ」

    この機能はデータ印刷解像度に関わらず、用紙設定の寸法で原寸大表示される。

  • ピクセル等倍
  • 画像上の 1ビットマップピクセルを、モニタ上の 1ドットと同じ大きさで表示する。
    通常はZoom率100%。ブラウザで表示している画像も通常はピクセル等倍になる(IEの自動リサイズがoffのとき)。
    ピクセル等倍した画像の見かけのサイズは、印刷解像度に関わらず、画像ピクセル数とドットピッチによって決まる。


    他所と表記が異なる部分もあるので、かえって混乱するかもしれません(スミマセン)。また印刷解像度の単位にはdpi(= dot/inch)の他にdot/cmなど色々ありますが、ここでは以下すべて印刷解像度はデータ印刷解像度として、単位はdpiで統一します。

    「dot」と「pixel」は意味としては例外なく同じと言えますが、前者はモニタや印刷機などのハードウェア上の単位、後者はデータ上の単位として使われます。それから考えると、データ印刷解像度で一般的な単位のdpiは「ppi(= pixels/inch)」とするべきかもしれません。

    また、主に液晶モニタではモニタ画素数がメーカー推奨値以外に設定されていると、ピクセル等倍でも 1 pixelが 1 dotと等しくならない表示になり得ます(身近な例ではWindowsのブートスクリーン。あれは最大モニタ画素数が640*480 dotの古いモニタでなければピクセル等倍にならない)。

    ■「dot」の大きさはモニタ機種によって様々です(CRTにはdotは粒としては存在しないため理論上の大きさになります)。
    またCRTは同じ機種でも本体の調整・ドライバ側での調整によって異なるうえ、ブラウン管自体の歪みがあるため計測する位置によっても異なります。
    dotという単位には、メートルなどの単位と違って明確な基準がないため(そもそもdotやpixelは長さの単位ではない)、それが解像度の話題を混乱させる大きな要因になっているように思います。

    ■印刷解像度とスキャニングする際の取り込み解像度は、「用紙 1インチ当たりに何個ピクセルを詰め込むか」と「原稿 1インチ当たりを何個のピクセルに分解するか」のちがいだけで、結果的には同じ事と言えます。
    デジカメの売り文句でよく見る「800万画素」や「8メガピクセル」といった表記も、値を掛算で表すか四捨五入した総数で表すか、また対象物がパネルか撮像素子かといった違いはありますが、解像度の意味ではモニタ画素数と同義と言えます。

    ■「スクリーンdpi」という言葉は僕が勝手にそう呼んでいる造語です。混乱させてしまって申し訳ありませんが、Gimpを英語で立ち上げてDisplay設定を見ると、画面の実寸値で 1インチ当たりのモニタ画素数は「Monitor Resolution」と表記されているし、Photoshop英語版では「Screen Resolution」となっているそうです。
    そのまま直訳すると「画面の解像度」となってしまい、モニタ画素数(総数)なのか 1インチ当たりの量なのか文章で判断しづらくなるうえ、Windowsの画面のdpi設定とも用途が全く異なるので、このページでは
    (モニタ画素数/モニタ上の1インチ)dpi =「スクリーンdpi」と表記することにします。

    ■「スクリーンピクセル」はラスターグラフィックスエディタでは馴染みのない用語ですが、ベクターグラフィックスエディタでは例えば、「Zoom率を200% にしてオブジェクトを 1スクリーンピクセルナッジする」といった操作ができます。
    1スクリーンピクセルは100*(1/Zoom率)pixelの式で計算でき、この場合Zoom率200%なので実際の移動量は 0.5 pixel、Zoom率を25000%にすれば 0.004 pixelという事になります。
    ラスターグラフィックスエディタでも「選択範囲の破線の線幅はZoom率に関わらず 1スクリーンピクセル」のように「dot」と全く同じ意味で使われる場合もあります。

    ■「ピクセル等倍」のことを、原寸表示や実寸表示と言う方もいらっしゃいます(というかその方が多い?)が、ここでは現物を現物(印刷結果)のままの大きさ(原寸大)でモニタ上に表示するという意味で「原寸表示」として、1ビットマップピクセルをモニタの1dotと同じ大きさで表示する「ピクセル等倍」と区別する事にします。

    ■「原寸表示」で誤差範囲(±1 dot)以上にサイズが違って見える場合は設定が間違っているとして、「ピクセル等倍」の場合は同じ画像でもドットピッチによってモニタごとに見かけの大きさが違ってきます。
    たとえば640*480 pixels の画像をドットピッチ0.17 mmのモニタと0.28 mmのモニタで表示すると、見かけのサイズは
    ドットピッチ 0.17 mm →(0.17*640) * (0.17*480) = 108.8 * 81.6 mm
    ドットピッチ 0.28 mm →(0.28*640) * (0.28*480) = 179.2 * 134.4 mm
    このように、塵も積もれば〜式にずいぶん違ってきます。
    このレベルでは人間の目には大差なく見えますが、少なくとも液晶モニタでは事実上ドットピッチが大きいモニタほど、同じ画像を大きく、荒い表示で見ていることになります。
    逆に考えると、1つの画像を、ドットピッチが大きいモニタで表示したときと同じ見かけのサイズでドットピッチの小さいモニタに表示するためには、画像ピクセル数を大きく(= データ容量を増やす)しなければならない、という事です。これを解決するのがベクター形式の画像です。

    この他にも解像度にはマウスやタブレットの座標分解能力を示す「座標分解能(dpi)」(= 座標分解能線数 lpmm)などがありますが、ここでは省きます。

     

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    Oct 15 2007